遙かゆかりのスポット巡り

11月生まれさん特集

義経の舟隠し(石川県志賀町)



奥州を目指す逃避行の最中に、義経一行が立ち寄ったと言われる場所は北陸を中心に数多くあります。

石川県の能登半島にあるこの義経の舟隠しもその一つ。
奥行き100メートルほどの入り江に、追っ手の目から逃れ、嵐を避けるために48隻の船を隠したと伝えられているそうです。

そこまで多くの船を率いていたかどうかは大いに疑問ですが、能登半島先端にある珠洲市には平時忠平清盛の妻、時子の弟)が流されていたので、彼の娘を側室としていた義経が密かに訪ねる……ことはあったかもしれません。


この一帯は関野鼻と呼ばれ、水に溶けやすい岩石がさまざまな奇岩を形作るカルスト地形としては日本最大規模。
義経の舟隠しのそばには、松本清張『ゼロの焦点』のクライマックスでヒロインが身を投じることで有名なヤセの断崖(下左)もあります。
下右は、ヤセの断崖から見た日本海。
断崖絶壁とはまさにこのことです。

 

岬の突端にある関野鼻パークハウスから海岸に下りていくと、海岸沿いのほそ〜い道を歩くことができます。
ここで見ることができるのが、義経の一太刀岩と、弁慶の二太刀岩です。
下左の写真の@が一太刀岩で、義経が一太刀できれいに割ったと言われています。
対して、Aが二太刀岩弁慶が二太刀で割り、こちらは力任せにバラバラにされた感じです。

岬を回り込んでさらに奥に進むと、洞窟が現れます(下右)。
 
中には琵琶湖の竹生島弁財天の分身とされる裸弁財天が二体祀られていますが(下)、この洞窟には実は「義経・弁慶隠れ洞窟」という名があります。
追手から逃れた義経主従がここに身を潜めた……ということなのでしょう。
手前にやたらと目立つ岩の目印を作っちゃってて大丈夫なのか?という気もしますが、か、帰るときに割ったんだよね。
まさか隠れる前に割ってないよね?!(笑)

とにかく、こういう伝説が生まれるほど、この地域の人々が義経に心を寄せていたということなのでしょう。
 
なお、ここにご紹介した写真はすべて、2007年の能登半島地震以前に撮影したものです。
震度6の揺れに襲われた同地では、ヤセの断崖の突端部分が崩落し、写真のような光景はもう見られません。
岬の突端にあった関野鼻パークハウスも、損害を受けたために閉鎖され、現在はこの一帯が立ち入り禁止になっているとのことです。

ご自身で旅行される場合は、現在の状況をあらかじめ確認してから行かれることをおすすめします。