もう一つの悲運が、ここにある。
遙かなる時空の中で3〜十七日記〜

(できれば譲誕創作『守護神』を読んでからご覧ください。あと、すっごく長いスクロールになってます)


第1章 誕生日、萌えに惑う
それは2006年の7月。
前年からはまりまくった『遙か3』有川譲くんのお誕生日が近づいたころ、一人の戦神子はよせばいいのにとんでもないことを考えたのです。

「そうだ! 譲くんに手作りケーキを贈ろう!」


公式設定よりもずっと長く生きてきたくせに、戦神子はケーキはもちろん、クッキーさえ作ったことがありません
そもそもお菓子ってどう作るのかわからない戦神子が、スーパーの棚で見つけたのが
『モン*ン 本格スポンジケーキセット』
なんと、焼き型まで付いているというではないですか。

「これだ!」

2006年の7月17日は幸い休日!
箱に書いてある材料を、書いてあるとおりに混ぜあわせて焼き型に注ぎ込み、オーブン(なぜかオーブンだけは立派)に入れて焼き上がりを待ちました。

チーン!

おおっ! おいしそうな匂い!!
でも、何だかイメージと…?

3枚に切れと言われても切れないフラットなケーキを前に悩む戦神子。
仕方なく2枚に切り離し、適当にデコレーションして適当に弓矢っぽい模様を描き、とりあえずロウソクを立ててお祝いしたのでした。

 

「Happy Birthday 譲くん!」

肝心の味の感想は
「……固めのホットケーキ?」

やはりちゃんと1から作らなければ…と、決意したのでした。


第2章 苛むものは不味さ

ちゃんと1から作るには、レシピが必要
そこで2007年の戦神子は、インターネットを駆使してあちこちのサイトから良さそうなレシピをピックアップ。
端からプリントアウトしたのでした。

で、この後の過程は『守護神』を読んでいただくとして、戦神子は激烈に不味い最初のケーキを泣く泣く……というよりは怒りにまかせて廃棄!
次のケーキに取りかかったのでした。

2回目はさすがに生クリームにいろいろ混ぜましたよ!
でも、やっぱり厚さが足りず、スポンジは2枚に切るのがやっと。
それでも飾り付けだけは去年より頑張りました(モチーフは屋島の日輪の扇…のつもり)。



味は……
「人にはとても食べさせられない。罰として自分で食べよう」

将臣くんのような守護神がいない戦神子は、ここで戦いを諦め、その悲しさを小説につづったのでした(これが『守護神』です)。


第3章 運命の上書き

2008年、7月はまた巡ってきました。
去年、あんな悲劇を経験したのです。
きっと今年こそ、運命は書き換えられるはず!!

白龍の逆鱗ならぬ、「ただ一つのレシピ」(去年学習した<笑>)を握りしめて、戦神子は再び廚に立ったのです。

合い言葉は「シンプル・イズ・ベスト」
「見た目」とか「味」とか「オリジナリティ」とか、二股や三股かけてたらきっと待っているのはバッドエンディング
もしものために今回も2回分の材料が揃えてあります。
1回は上書き可能なのです!

「…………」
なのに、なぜ膨らまないっ!!!???

1回目は多分失敗作(経験値低すぎて判断つかず<涙>)。
念のために横に取っておいて、2回目に挑みます。

どう考えても、失敗の原因は混ぜ方。
ダマが怖くて混ぜすぎると膨らまないし、かといってザックリ混ぜるだけだとダマがきれいに残ったまま焼き上がるし!!
世のパティシエは陰陽術でも使っているのか〜っ?!!

再度焼き型に流し込み、オーブンへ。
まったく、この焼けている匂いだけかいでるとすっごくおいしそうなのに!!

チーン!

おそるおそる窓を覗くと、
「ん?」
なにか、これまでより体積が大きいような。

取り出して上からどすんと落とし、逆さにして冷ましてみます。
「きっとまた縮んじゃうのよ〜」

ところが!!
ついに初めて、3枚に切れそうな厚さが!!
しかも、なんかふわふわしててスポンジっぽい!!
そうそう、私、スポンジケーキ作ってたんだよな。
忘れるところだったよ。

見た目だけだと、初めてケーキっぽい仕上がりとなりました!!

今年はデコレーションもシンプル!
チーズクリームでコーティングして、スミレをチョコレートで描くだけにしてみました。



文人画っぽくていいかも?(すごく無理のあるほめ方)
あと、ロウソク使い回しはやめましょう(苦笑)。

お誕生日当日に食べた感想は
「やっぱりとても人様には食べさせられない」
だったのですが、クリームチーズが固まった翌日以降は
「あれ? もしかして大丈夫かも」

来年は、可能なら、誰かに食べさせてみようかな〜と、恐ろしいことを考えたのでした。


第4章 信じられる味蕾(親父ギャグ)

まあ、誰でも「去年と同じレシピで作れば、今年はもっとマシになるはず」と思いますよね〜。
戦神子も同感です。
でもね〜。
でもやっぱり「同じ」じゃつまらないと思うわけですよ。
年に1回しか作らない七夕パティシエでもさ〜。

ということで、またまた性懲りもなく別のレシピをゲット。
今回はデコレーションにアイディアがあった(不吉)ので、まず前提としてクッキーを作ることにしました。

はい、人生において初のクッキー
初のめん棒
初の型抜き
初心者なので、クッキーミックスを買ってきましたが、焼き上がりは
「う〜ん、不味い!!」
できあいの粉だからじゃなく、おそらく明らかに戦神子の力量不足でしょう。
でも、今回は形さえ整っていればいいので、味はスルー!(えっ?!)

いよいよ無謀なる挑戦第4章の幕が切って落とされたのです!

* * *

今年のレシピは、チョコレートケーキ!!
私が幼いころ、うちの母が挑戦して敗れたメニューです。
去年ちょっとうまくいったレシピの応用版で、応用って基礎がうまくできるようになってからやるものではあるのですが、この際固いことを言うな!

1個目。
ああ……おなじみの厚さ……こりゃとても3枚には切れないよ。
リズ先生〜〜!!

普通に粉を混ぜた後、ココアバター(これを作るのがえらい大変だった。しかもダマが多発! ここが一番難しいよ〜! なんか固まっちゃったし)を混ぜ込むのに再度ゴムべらを使わなきゃいけないので、膨らまない危険性が2倍に!!
案の定、1個目は貴重な犠牲となりました。
しくしく。

* * *

めげずに(いや、十分めげてるんですが)2個目に即、挑戦。
この時点で「もう1個失敗したら、去年のレシピに戻ろう」とひそかに決意してました(涙)。

わーわーやっている間に母への定時連絡の時間。
 「何やってるの?」
 「ケーキ焼いてるの。誕生日だから」
 「またゲームの人? パーティでもするの?」
 「いや、一人で食べるの」
 「……寂しいことやってるね」
わかってるよっ!!

さっきよりはなんぼかマシな気がするココアバターを混ぜ込み、再度オーブンへ。
祈るような気持ちって、ケーキの焼きあがりをまつ心境にぴったりな気がします(泣笑)。

チ〜ン!

ドキドキ……………はっ!
「やった〜!! 3枚に切れる厚さだ!!!」
つまりやっぱり1個目は失敗作だったのね。
厚さが全然違うよ。
ということで今夜は寝ます。もう午前2時半だ〜〜っ!!!!!

* * *

本日は、お誕生日前夜。
もう一つの鬼門、デコレーションに取り組まなければなりません。
生クリームを火にかけて大量のチョコレートを溶かし込み、これでもかっ!!というくらいケーキに塗ったくります。
この時点で辛党の私はすでに失神寸前です。

さらにココアパウダーを振りかけ、粉砂糖を振りかけ、クッキー(↑上記参照)を取り出してデコレーションの仕上げ。
な、なんかすっごく地味になっちゃった……



ちょっとは派手にしようと、キャンドルを立ててみました。



……あんまり派手じゃない。
でもまあ、それほど破綻も感じないので、今年はこれでよしとします。
あ〜〜、終わった。
すっごく気苦労した。勝手に。

譲くん、お誕生日おめでとう!
大好きだよっ!!!

あ、肝心のお味は、今までで一番おいしかった〜!!
友達なら食べてくれるかも…。明日、私の友達は覚悟してください(笑)。


さて最後に、「誕生日以外にもケーキ焼いて練習すればいいのに」という感想を誰もがもたれたと思います。
でも、でも戦神子は酒飲みだから辛党なんですよ〜〜っ!!
でっかいケーキとか、見ただけで血の気が引くんですよ〜〜〜っ!!

そういうわけで、譲くんのお誕生日以外には、絶対にケーキを焼くなんて行為、できないのです!!

ということで、来年の7月にはいったいどんな野望を抱くんでしょうね、戦神子。
最終章は「陽だまりの中で」希望なんですが…。

長々とおつきあい、ありがとうございました…。