『BARAGA-鬼ki』ゆかりのスポット巡り


井上源三郎資料館(東京都日野市)

 

後に道場を開き、新選組メンバーを集めることになる佐藤彦五郎さんに、最初に天然理心流を紹介したのは、井上源三郎さんの兄、松五郎さんだったと言われています。
この松五郎さんは八王子千人同心の一人で、日光東照宮を警備する役を担っていました。
兄弟して剣術に優れ、源三郎さんと二人で天然理心流の免許皆伝の腕前だったそうです。

ちなみに、この天然理心流剣術の免許が長いこと見つからなかったため、その間に作られた新選組の小説やドラマでは、源三郎さんは「古参ということで優遇されているが、剣の腕は大したことないキャラ」扱いだったとか。
土方さんは中極意目録どまりだから、源三郎さんのほうが強かったんだよ!」と、資料館(上、下左)の方に強調されました(笑)。

   

井上兄弟が日野の天然理心流の中心的存在だったのは、1858年に市内の八坂神社(上右)に奉納された額からも見て取れます。
剣術の上達を願うこの額には、最初に井上松五郎さん佐藤彦五郎さん、中程に井上源三郎さん、末尾に沖田くん近藤さんの名が並んでいるのです。
土方さんは、この翌年に入門しました。

下左は八坂神社の本殿。
1800年建造で精巧な木彫り細工が美しいのですが、現在は覆屋に収められているため、格子から覗きこまないと見えません。

下右は毎年5月に開催される「ひの新選組まつり」の横断幕。
八坂神社では、このお祭りの日に少年剣士たちによる奉納試合が行われます。

  

資料館の中には、天然理心流の特徴がわかる刀も展示されています。
通常の刀よりずっと長く、沖田くんが得意だった突きはその長さを生かした技だったとか。
通常の日本刀のように刀身に波模様(刀文)がないのは、焼きを深く入れると刀が折れやすくなるためだそうです。

井上さん鳥羽・伏見の戦いの最中、で銃弾に倒れました。
ともに戦っていた甥の井上泰助さんは、叔父の首と刀を持って大阪に引き上げようとしましたが、首のあまりの重さに寺の門前に埋葬して、引き上げたそうです。

長くその場所は不明とされていましたが、最近の調査で、宇治川の手前にあった欣浄寺がその寺である可能性が高くなっています。

日野市内の宝泉寺(下左)には井上家の墓所があり、井上源三郎さんの墓碑(下右)が建てられています。兄・松五郎さん、甥・泰助さんも同じ寺に眠っているそうです。

 


*『BARAGA-鬼ki』ポイント
周平と剣の稽古をするたびにやっつけられる井上さん

井上さん「私、すごく弱い設定になってるんです。あの子の中で…」
土方さん「天然理心流、免許皆伝も形無しだな」

キタムラさんは脚本を書く前にこの記念館を取材したので、井上さんがちゃんと一流の剣士になっています。

試衛館時代からの盟友で、近藤さん・土方さんを支えてきた井上さんが亡くなった後、史実でも、劇の中でも、新選組は崩壊し始めるのです。